その手首の痛み、実は骨折かもしれません!【舟状骨骨折】のサインとは

 転んで手をついたあとに、
「親指側の手首だけが痛む」「見た目はあまり腫れていないのに、動かすと強い痛みが出る」
――このような状態が続いている場合、舟状骨骨折(しゅうじょうこつこっせつ)という手首の骨折が隠れている可能性があります。

舟状骨骨折は、スポーツ中の転倒だけでなく、日常生活でのちょっとした転倒など、軽いケガのつもりでも起こりやすいのが特徴です。

ちょっと手をついただけで骨折するなんて、思いもよらないですよね!

目次

舟状骨骨折とは

 舟状骨は、手首を構成する8つの小さな骨のひとつで、親指側に位置しています。手首を安定させる役割を持ちながら、指や手を細かく動かすためにも重要な働きをしている骨です。

転倒して手をついたときや、スポーツ・交通事故などで強い力が加わった際に骨折しやすく、手首の骨折の中でも比較的多くみられる代表的なケガのひとつです。

舟状骨はもともと血流が少ないため、骨折すると治りにくい骨です。だから“様子見”せず、早めに受診することが大切です。

舟状骨骨折の症状

 舟状骨骨折では、次のような症状がよくみられます。

  • 親指側の手首の痛み(特に押すと痛い)
  • 手の甲を反らす・曲げる動きで強い痛み
  • 運動後や日常動作で手首が不安定に感じる
  • 軽い腫れや内出血
  • 指先のしびれや感覚の違和感

腫れが目立たないことが多いため、捻挫だと思ってそのまま様子を見てしまうケースも少なくありません。しかし、治療せずに放置してしまうと骨がうまく癒合せず、「偽関節(ぎかんせつ)」という状態になってしまうことがあります。その結果、痛みが長引いたり、手首の動きに支障が出たりする原因となります。

骨が治らず、折れた部分がまるで「関節のようにグラグラ動く状態」になるのが偽関節です。

舟状骨骨折の原因

 舟状骨骨折は、次のような場面で起こることが多いです。

  • 転倒して手をつく
  • サッカー・バスケ・スキー・スノボーなどのスポーツ外傷
  • 交通事故で手を強く打つ
  • 重いものを持った際の過負荷

日常生活での何気ない転倒でも起こることがあり、年齢や普段の運動量に関わらず、どなたでも注意が必要な骨折です。

舟状骨骨折の診断方法

 舟状骨骨折は、初期には気づかれにくく、見逃されやすい骨折のひとつです。

STEP
問診

痛みが出ている部位、転倒したときの状況、症状が現れたタイミングなどを詳しくお聞きします。

STEP
触診

手首の腫れや圧痛(押したときの痛み)、動かせる範囲、しびれなどの感覚の異常がないかを確認します。

STEP
X線(レントゲン)検査

舟状骨は骨の向きが斜めになっているため、通常のレントゲン撮影だけでは骨折が写らないことがあります。

STEP
CT・MRI検査

骨折の線がはっきりしない場合や、わずかな骨のずれを詳しく確認したい場合、また靭帯など周囲の組織の損傷が疑われるときには、CTやMRIなどの精密検査を追加して、より正確な診断を行います。

「おやま整形外科クリニック仙台院」ではレントゲン・MRIの両方の検査が受けられます!

舟状骨骨折の治療法

 舟状骨骨折の治療は、骨折の程度や状態に応じて、「保存療法」と「手術療法」の2つの方法から選択されます。

保存療法(ギプス固定)

  • 骨のずれが小さい場合に選択
  • 手首を6~12週間ほど固定
  • 固定後、リハビリで動きを回復

※舟状骨は血の流れが少ない骨のため、ほかの骨に比べて治るまでに時間がかかることがあります。

手術療法

次のような場合には、手術による治療をご提案することがあります。

  • 骨がずれている不安定な骨折
  • 保存療法で癒合しにくいタイプ
  • 早期復帰を希望するスポーツ選手・職業の方

手術では、小さなスクリューなどを使って骨をしっかり固定し、骨が治るまでの期間を短くすることを目指します。

舟状骨骨折のリハビリ

 治療後のリハビリはとても大切です。主な目的は次の3つです。

  • 固くなった関節をほぐし、スムーズに動かせるようにする(可動域訓練)
  • 弱った手首や前腕の筋肉を鍛え、力を取り戻す(筋力トレーニング)
  • 日常生活やスポーツでの動きに、安心して復帰できるようにする

痛みを和らげたり、回復を促したりするために、温熱療法や超音波治療などの物理療法を併用することもあります。あわせて、ご自宅で安全に行えるストレッチや運動も、分かりやすく丁寧に指導します。

理学療法士にお任せください!

予防のポイント

 舟状骨骨折を予防するためには、次のような対策が大切です。

  • 手首サポーター・テーピングで保護
  • 日頃からのストレッチで柔軟性を保つ
  • 手首周囲の筋力強化(握力トレーニングなど)
  • スポーツ時の転倒予防対策
  • 滑りやすい場所では注意して行動する

日頃のちょっとした心がけで、手首のケガはしっかり予防することができます。

監修医師のアドバイス

舟状骨骨折は、腫れが目立たないため、「ただの捻挫」と思って見過ごされやすい骨折です。しかし、適切な治療を受けずに放置してしまうと、治りにくくなり、痛みが長引く原因になることがあります。

手首の痛みが1週間以上続く場合や、とくに「親指側の痛みがなかなかよくならない」と感じるときは、早めに整形外科を受診しましょう。

お気軽にご相談ください!

おやま整形外科クリニック仙台院での治療費の例

初診の診察・レントゲン(6方向)・処方箋
1割負担:約900円
2割負担:約1,780円
3割負担:約2,670円
再診の診察・物理療法
(電気治療、ウォーターベット)
1割負担:約110円
2割負担:約220円
3割負担:約330円
再診の診察・運動器リハビリ(理学療法士)
1割負担:約450円
2割負担:約890円
3割負担:約1,340円
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