見逃すな!【関節リウマチ】が進行すると出る7つのサイン

 皆さんは関節リウマチってどんな病気かご存じですか?
今回の記事では関節リウマチの症状や、原因、簡単にできるセルフチェック、治療の流れなどをわかりやすくご説明します。

目次

関節リウマチとは

 関節リウマチは、関節の内側にある滑膜(かつまく)が増えて炎症を起こすことで、関節自体に慢性的な炎症が続く病気です。炎症を引き起こす物質(サイトカイン)が過剰に出ることで、自分の体を攻撃してしまう自己免疫疾患の一つです。
そのため、関節の痛みや腫れだけでなく、進行すると軟骨や骨が壊れて手や指の動きが悪くなったりします。さらに、貧血や微熱、だるさなど全身の症状が出ることもあります。かつては治療が難しかった病気ですが、最近では効果の高い薬が増え、症状を和らげたり関節の変形を防げる人が増えています。特に早めに治療を始めることで、より良い結果が期待できます。

早期の治療が重要です!気になる症状があれば迷わず受診しましょう。

関節リウマチの症状

 関節リウマチでよく見られる大事な点は「朝のこわばり」と「左右同じところに症状が出る」ことです。多くの方が「朝、手がこわくてすぐに動かせない」と感じますし、左右両方の手や足の関節が同じように腫れて痛むのが特徴です。まずは指や手首など小さめの関節に出ることが多いですが、場合によっては膝や股関節など大きな関節にも症状が出ます。

症状が進行すると、膝に水がたまったり関節が動きにくくなったり、痛くて歩けなくなったりして、日常生活に支障が出てきます。関節だけでなく体全体にも影響が出て、貧血でふらついたり、だるさや微熱が続くこともあります。
重症になると、指や手首の関節がこわされて指が短く見えたり、関節が外れかけたり(亜脱臼)、完全に外れる(脱臼)ことで強い変形が起きます。足の指も同じように変形することがあります。
特に注意が必要なのは首(頸椎)の一番上の骨が前にずれてしまう「環軸椎亜脱臼(かんじくついあだっきゅう)」という状態で、これが起きると脊髄が圧迫されて手足が麻痺したり、呼吸が苦しくなることもあります。首に違和感や手足のしびれ・力が入らない感じがある場合は、早めに医師に相談してください。

関節リウマチの原因

 関節リウマチの原因はまだはっきりわかっていませんが、遺伝や細菌・ウイルスの影響が関係していると考えられています。どの年齢でも起こり得ますが、特に30〜40代の女性に多く見られます。日本にはおよそ70万人の患者さんがいるとされています。診断された時点で軽い人もいれば重い人もいて、症状の出方は人それぞれです。関節の違和感や痛みが少しでも気になる場合は、早めに医療機関を受診して早期の診断と治療を受けましょう。

特に女性は要注意ですね。

10代から発症する方もいました。「自分は大丈夫」と油断しないほうが良いですね。

関節リウマチの病態

 関節リウマチは自己免疫疾患の一つであり、本来は病原体を排除する免疫応答が誤って自分の組織を標的にしてしまうことで、慢性的な炎症や組織障害を引き起こす病態です。膠原病(こうげんびょう)とも呼ばれます。

もう少し分かりやすく言うと、体を守る免疫の細胞が誤って関節の内側(滑膜)を攻撃する抗体を作ってしまい、そのせいで滑膜に免疫細胞が集まって炎症が起きます。炎症を起こした滑膜からは「サイトカイン」と呼ばれる炎症のもとや、軟骨や骨を壊す物質が出て、だんだん周りの軟骨や骨が傷んでいきます。関節が壊れてくると痛みが強くなりますが、非常に進行して関節がほとんど壊れてしまうと、逆に炎症が落ち着いて痛みが和らぐこともあります。

もしかしてリウマチかも?7つのサイン

 冒頭でも触れましたが、リウマチにはいくつかのサインがあります。次の症状に心当たりがないかセルフチェックしてみましょう。

  • 朝起きて手のこわばりが30分以上続く
  • ドアノブや瓶の蓋が開けづらい
  • ホチキスやハサミが使いづらい
  • ファスナーやボタンなど、服の脱ぎ着がしづらい
  • お箸が扱いづらい
  • 日常の動作に違和感を感じる
  • 貧血、目の渇き、だるさ、食欲不振、微熱などの体の不調がある

皆さんはいくつ当てはまりましたか?

もしひとつでも当てはまる項目があれば、整形外科を受診しましょう!

関節リウマチの診断

 関節リウマチの診断は、アメリカリウマチ学会(ACR)が定めた基準に基づいて行われます。この基準は「臨床症状・血液検査・レントゲン像など」からなる計7項目で構成され、うち4項目以上に該当すれば関節リウマチと判定されます。症状は原則として6週間以上持続していることが条件です。
血液検査の一要素であるリウマトイド因子(RF)は参考指標の一つに過ぎず、陽性だからといって単独で確定診断とはなりません。RFは他疾患でも陽性になる場合があるため、近年はMMP-3や抗CCP抗体(抗シトルリン化ペプチド抗体)などを併せて測定し、より精度の高い評価を行うことが増えています。

血液検査で引っかかったらリウマチ確定、ではないんですね!

関節リウマチはどんな風に進行していくの?

 関節リウマチの重症度は、以下の4段階に分類されます。

ステージ1(初期)

レントゲンに変化は見られず、普段の生活にはほとんど影響がありません。

ステージ2(中期)

軟骨が少しずつすり減って、関節のすき間が狭くなってきます。関節に違和感はありますが、普段の身の回りのことは自分でできます。

ステージ3(後期)

骨や軟骨が壊れてきて、歩くときや外出するときなどには誰かの手助けが必要になることがあります。それでも日常の身の回りのことはなんとか自分でできます。

ステージ4(末期)

軟骨がほとんどなくなり、骨どうしがくっついて関節が動かなくなっています。そのため身の回りのことが難しくなり、車椅子やベッドでの生活が中心になることがあります。

ステージ3〜4まで進行すると治療が困難となるため、関節リウマチはステージ1〜2の段階で早期発見・早期治療を行うことが望まれます。症状に不安がある場合は整形外科・リウマチ科・膠原病内科などの専門医を受診してください。受診先の判断が難しい場合は、まずかかりつけ医に相談して適切な専門医へ紹介してもらうのが有用です。

重症化する前に早めに受診・ご相談ください!

関節リウマチの治療

 繰り返しになりますが、関節リウマチは早く見つけて早く治療を始めることがとても大切です。治療はまずお薬が中心になります。主に抗リウマチ薬や痛み止め(非ステロイド性の消炎薬)を使い、必要に応じてステロイドや免疫を抑える薬、生物学的製剤を追加します。痛みを楽にするために関節にステロイドやヒアルロン酸を注射することもありますが、これらは痛みを和らげるための補助的な方法で、病気を完全に治すものではありません。リハビリ(運動やストレッチ)も有効です。
長期間の炎症や破壊が続くと、膝や股関節の人工関節手術や背骨の手術が必要になることがあります。指の腱が切れてしまった場合は腱を縫い合わせる手術(腱縫合)が行われることもあります。
これから、各治療の内容について詳しく説明していきます。

①薬物療法

抗リウマチ薬

リウマチの原因になる免疫の暴走を抑える薬で、関節が壊れるのを防ぎます。効き始めるまでに2か月〜半年ほどかかることが多く、様子を見ながらお薬を変えたり複数を組み合わせたりします。

非ステロイド性抗消炎薬

痛みのもとになっている炎症を抑えて、痛みを和らげます。

ステロイド薬

痛みのもとになっている炎症を抑えて、痛みを和らげます。

生物学的製剤

抗リウマチ薬と同じく、リウマチの原因となる免疫の異常を抑えて関節の悪化を防ぐ、新しく開発されたお薬です。

②リハビリテーション

リハビリはリウマチそのものを治すためのものではなく、リウマチで起きた関節の動きにくさや筋力の低下、指先の細かい動きがしづらくなる問題を改善したり、悪くならないように行います。関節がこわばったり筋力が落ちると日常の動作が不便になりますが、リハビリではこれらを改善するため、次のような運動を行います。

指の運動

グーパーグーパーを繰り返したり、小さいものをつまんだりします。

握力の運動

スポンジを握ります。

手首の運動

手を前に出し、上下に動かします。

脚の運動

椅子に座り、ひざを曲げ伸ばします。

自宅でも簡単にできるのでぜひやってみてください!

③手術

薬物療法やリハビリテーションでよくならない場合や、病気がかなり進んでしまった場合は手術を行うことがあります。特に多いのは膝や股関節の「人工関節置換術」ですが、場合によっては指や肘にも人工関節を入れたり、首(頸椎)の不安定さを固定する手術をすることもあります。

手術の場所や内容にもよりますが、入院はだいたい2〜4週間が目安です。もっと長くリハビリが必要なときは、3か月ほど入院する方もいます。
費用は「高額療養費制度」の対象になります。保険の種類や収入によって差がありますが、自己負担はおおむね7万円〜10万円くらいになることが多いです。正確な自己負担額を知りたい場合は、加入中の健康保険組合にあらかじめ確認してください。

手術が決まったときの注意点
手術が決まったら必ず禁煙してください。喫煙を続けると傷の治りが悪くなったり、回復が遅れることがあります。
さらに、骨粗しょう症の薬を飲んでいる方は、手術に影響することがあるので必ず担当の先生に伝えてください。

リウマチで気を付けるべき生活習慣

 「これを食べればリウマチが治る」といった魔法の食べ物はありません。でも、食事で筋力を守ったり、体重増加を防いだりすることはできます。
筋肉をつけたいときは、魚やお肉、卵、大豆製品、ヨーグルトなどたんぱく質を意識してとりましょう。体重を増やさないようにするには、お菓子やごはん・パンの食べすぎに気をつけてください。日常生活の工夫としては、和式トイレや床に座る生活は関節に負担がかかるため、洋式トイレや椅子、ベッドなどに変えると楽になります。枕が合っていないと首(頸椎)に負担がかかるので、自分に合う高さの枕を使うことも心がけてください。また、かかとの高い靴(ハイヒール)は足首・ひざ・股関節に余計な負担をかけます。できるだけ歩きやすい靴を選び、日常の関節への負担を減らしましょう。

そして、リウマチかも?と思ったら早めに医療機関を受診しましょう!

おやま整形外科クリニック仙台院での治療費の例

初診の診察・レントゲン(6方向)・処方箋
1割負担:約900円
2割負担:約1,780円
3割負担:約2,670円
再診の診察・物理療法
(電気治療、ウォーターベット)
1割負担:約110円
2割負担:約220円
3割負担:約330円
再診の診察・運動器リハビリ(理学療法士)
1割負担:約450円
2割負担:約890円
3割負担:約1,340円
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