【変形性脊椎症】加齢による脊椎の変形について整形外科医が監修して解説!

 変形性脊椎症とは、脊椎(背骨)が劣化・変形する疾患で、主に加齢や長年の負担が原因で発症します。脊椎は体の柔軟性と安定性を維持する役割を持っていますが、加齢に伴い組織が変性し、その機能が低下することで発症することがあります。この疾患は腰椎や頸椎に最も多く見られますが、胸椎にも影響を及ぼすことがあります。

腰が曲がっている高齢者の方をよく見かけますが、あれは脊椎が変形してしまっているのですね……

その通りです。若い人でも、生まれつき脊椎が異常に曲がっている「側弯症」の場合があります。

側弯症はだいたいの人が無症状で、健康診断などで発覚するケースが多い気がします。

今回はそのような脊椎の変形について詳しく見ていきましょう!

目次

変形性脊椎症

変形性脊椎症では、具体的には以下のような変化が起こります。

椎間板の変性

椎間板は脊椎の間にあり、クッションのような役割を果たして衝撃を吸収しています。しかし、加齢や長年にわたる負荷の影響で、水分量が減少し、軟骨組織が劣化することがあります。その結果、椎間板が薄くなり、脊椎の安定性が低下する可能性があります。

骨棘の形成

骨棘(こつきょく)とは、脊椎の周囲にできる骨の突起のことです。椎間板の変性や脊椎の不安定な状態が続くと、これが形成されることがあります。その結果、神経や血管が圧迫され、痛みや神経症状が引き起こされることがあります。

関節の変形

脊椎の間にある関節も変性し、骨の変形や動きの制限が起こることがあります。これにより、脊椎の柔軟性が低下し、痛みや動きにくさが生じることがあります。

変形性脊椎症の症状

変形性脊椎症の症状は人によって異なりますが、腰や首の痛み、しびれ、筋力の低下、動きの制限などが一般的にみられます。

腰痛:腰椎に変形性脊椎症が発症すると、腰や尾骨周辺に痛みを感じることがあります。この痛みは慢性的で、長時間座っているときや、活動後に悪化することが多いです。

頸部痛:頸椎に変形性脊椎症が起こると、首や肩周りに痛みを感じることがあります。特に、頭を動かしたときや、同じ姿勢を長時間続けたときに痛みが悪化することがあります。

神経症状:変形した脊椎が神経を圧迫すると、しびれや筋力低下が生じることがあります。

運動制限:脊椎の変形や関節の変性により、可動域が制限されることがあります。例えば、腰椎の変形によって神経の通り道が狭くなり(脊柱管狭窄症)、長時間歩くのが難しくなることもあります。

変形性脊椎症の症状は徐々に進行し、痛みや機能障害が悪化することがあります。症状の程度や影響は個人によって異なるため、正確な診断と適切な治療を受けるために、医師に相談することが大切です。

人によって症状はさまざまです。
まずは医師に相談してみましょう!

診察・検査

変形性脊椎症の診察では、以下のような検査や評価が行われます。

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問診

医師が症状の特徴、発症時期、進行の具合などを詳しく聞き取ります。

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身体検査

姿勢、歩行、関節の可動域、筋力、神経症状などを確認し、症状の影響を評価します。

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レントゲン検査、MRI検査

脊椎の変形、骨棘(こつきょく)、関節の変化などを調べるためにレントゲン検査が行われます。軟部組織や神経の状態をより詳しく評価するためにMRIを撮ることがあります。

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その他の検査

必要に応じて、血液検査、骨密度測定、神経学的検査などを行うこともあります。

当院ではレントゲンとMRI、両方の検査が可能です!

治療

 変形性脊椎症の治療では、軽度から中等度の症状の場合、痛みのコントロールや理学療法などの保存療法が中心となります。重度のケースでは、手術が必要になることもあります。

保存療法

  • 疼痛管理:非ステロイド性抗炎症薬( NSAIDs)や痛み止めの処方が行われることがあります。
  • 理学療法(リハビリテーション):筋力トレーニング、ストレッチ、温熱療法、電気療法などが行われ、筋力の改善や痛みの緩和を図ります。次項で詳しく説明します。
  • 補装具の使用:脊椎をサポートするために装具や杖をお勧めする場合があります。

コルセットやサポーターは保険適用の物もあります!
お気軽にお問い合わせください。

手術

 重度の症状や保存的な治療が効果が得られない場合、手術が検討されることがあります。手術の選択肢は個人の症状や状態に基づいて決定され、椎間板摘出術、椎弓切除術、脊柱固定術などが行われます。

リハビリテーション

 変形性脊椎症のリハビリテーションは、症状の軽減や機能回復を目指す上で重要な役割を果たします。以下に、一般的なリハビリの内容を紹介します。

  • 評価と目標の設定
    最初に、患者の状態を評価し、リハビリの目標を決めます。理学療法士などの専門家が、症状や機能的な制限、日常生活への影響、回復の進行度などを確認し、それに基づいたリハビリ計画を立案します。
  • 運動療法
    運動は変形性脊椎症の管理において欠かせません。適切なエクササイズを行うことで、筋力を強化し、柔軟性を高め、姿勢を改善することが期待できます。運動プログラムは患者さまの状態に応じて調整され、以下のような内容が含まれます。
1. 筋力トレーニング

背筋、腹筋、臀筋などの筋肉を鍛え、脊椎をサポートする筋群の強化を目指します。

2. 柔軟性改善運動

筋肉の柔軟性を向上させるストレッチ運動が行われます。特に腰部や股関節周囲のストレッチが重要です。

3. 有酸素運動

ウォーキングやバイク漕ぎなど、適度な有酸素運動は全身の健康状態を改善し、脳内の疼痛抑制機構の働きを高めたり、体重管理にも役立ちます。

  • 疼痛管理:温熱療法、冷却療法、電気療法、マッサージなど、さまざまな方法が用いられます。
  • 日常生活動作の指導:日常生活動作の改善や負荷の軽減に向けた指導が行われます。例えば、正しい姿勢の保持、重い物の持ち方の工夫、デスクワーク環境の指導などが挙げられます。
  • 教育と自己管理:患者さま自身も自分の状態を理解し、日常生活での適切な姿勢を学び、エクササイズを継続することが重要です。

 リハビリテーションの内容は患者さまに合わせて選択する必要があるため、医師や理学療法士との相談を通じて、最適なリハビリテーションプログラムを選択し、適切なサポートを受けましょう。

予防方法

 正しい姿勢を保つことはとても大切です。座る時も立つ時も背筋をしっかり伸ばすことで、脊椎への負担を和らげることができます。さらに、脊椎を支えるためには、適度な運動や筋力トレーニングが効果的です。筋力を強化し、骨格を安定させることで、脊椎にかかる圧力を分散させることができます。また、健康的な体重を維持することも脊椎の健康には欠かせません。体重が増えすぎると脊椎に余分な負荷がかかるため、適切な食生活と運動を取り入れ、体重管理を意識することが推奨されます。

痩せすぎはよくないってことですね!
いっぱい食べなきゃ!(モグモグ)

いや、太りすぎも良くないですよ!

何事も中庸(ちゅうよう)が大切ですね。

医師のアドバイス・まとめ

 変形性脊椎症は生活習慣病の一つであり、日常生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。しかし、適切な予防策を実践し、早めに対処することで、生活の質を維持しながら痛みをコントロールすることが可能です。

背中に痛みや違和感を感じた際は、放置せずに専門の医師やかかりつけ医に相談することをおすすめします。

お気軽にご相談ください!

せんだい整形外科クリニックでの治療費の例

初診の診察・レントゲン(6方向)・処方箋
1割負担:約900円
2割負担:約1,780円
3割負担:約2,670円
再診の診察・物理療法
(電気治療、ウォーターベット)
1割負担:約110円
2割負担:約220円
3割負担:約330円
再診の診察・運動器リハビリ(理学療法士)
1割負担:約450円
2割負担:約890円
3割負担:約1,340円
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